がん自壊創のスキンケア(1)出血・疼痛

がんの転移，または皮下局所に浸潤したがんが皮膚を破って創傷を形成する“がん自壊創”は，出血・疼痛・滲出液・においの四症状の管理において，患者，医療者共に難渋することが多い．加えて，これらの症状は患者のボディイメージの変化による精神的な負担を招き，患者・家族の戸惑いも大きい．　がん自壊創が出現するのはほとんどが終末期であり，自壊創そのものが治癒することはむずかしい．したがって，自壊創局所の適切な管理，つまり出血・疼痛・滲出液・においの主要四症状をコントロールできるようなスキンケアが求められる．さらに，効果的，経済的な創傷被覆材の選択，自壊創処置に伴う苦痛や，精神的ストレスの軽減につながる看護の提供が重要である．　ところで，臨床ではがん自壊創の管理に遭遇することが少なくないにもかかわらず，その管理方法についての指針はまだ不十分であるのが現状である．そこで，がん自壊創を抱えた患者・家族の苦悩や，局所管理方法に悩む臨床看護師の声を受け，皮膚・排泄ケアの観点から局所の問題点，具体的なスキンケア・管理方法を「出血・疼痛」「滲出液・におい」の2 回シリーズにわたり提示する．