長期生存を得ている盲腸癌同時性肝・卵巣転移および腹膜播種を伴う非孤立性脾転移の1 切除例

症例は67 歳，女性。肝転移（H1），腹膜播種（P3），左卵巣転移，脾転移を伴う盲腸癌に対し，回盲部切除術，D3 郭清，肝部分切除術，脾臓摘出術，単純子宮全摘術，両側付属器切除術，腹膜播種巣切除術を施行しCur B を得た。最終診断はStage Ⅳ［T4a，N1，M1b（H1，P3，OTH）］。術後化学療法はmFOLFOX6を13 コースおよびFOLFIRIを54 コース施行した。術後41 か月目の腹部造影CT およびPET 検査にて単発の肝転移（S5）を認めたため，肝部分切除術を施行した。その後はIRIS を17 コース，現在TS-1 内服中であり，最終手術後30 か月（初回手術後72 か月）現在，無再発生存中である。同時性多臓器転移を伴う盲腸癌に対し切除術を行い，術後化学療法を行うことで長期生存を得られている1 例を経験した。大腸癌非孤立性脾転移切除症例の報告は少なく，文献的考察を加えて報告する。