Two cases of chronic GVHD-related tongue cancer

骨髄造血幹細胞移植は近年増加傾向だが，慢性移植片対宿主病（以下Graft Versus Host Disease：GVHD）は二次性固形癌のリスク因子であり，原発部位としては口腔癌が最多である。今回我々は慢性GVHD関連舌癌症例を2例経験したので報告する。症例1は50代女性，骨髄造血幹細胞移植の1年後に口腔慢性GVHDを発症し，移植の12年後に舌背部に白板を伴う腫瘍性病変を認めた。舌扁平上皮癌（cT4aN0M0）と診断され当科紹介受診となり，可動部舌全摘術，両頸部郭清術，遊離腹直筋皮弁再建術を施行，術後1年経過で無病生存されている。症例2は70代女性，骨髄造血幹細胞移植の1ヶ月後に口腔慢性GVHDを発症，移植の5年後に舌背に腫瘍性病変を認め，舌扁平上皮癌（cT4aN3bM1）と診断された。全身状態不良であり，緩和治療の方針となった。骨髄造血幹細胞移植後の二次発癌の発症率は経時的に増加すること，そして異時性多発性再発のリスクがあることを念頭に，今後も慎重な経過観察が重要と考える。