Ear Fullness in Patients with Acoustic Neuroma.

耳閉塞感は外耳より中枢聴覚路に至る全ての聴覚路の障害により生じうる聴覚障害の主症状の一つであるが, 内耳-後迷路疾患における耳閉塞感の発生機序や病態に関しては全く解明されていない。 本研究では聴神経腫瘍268症例における耳閉塞感の発症頻度, および耳閉塞感とその他の臨床所見, 聴覚検査所見との関係について検討した。 その結果, 聴神経腫瘍の耳閉塞感の発症頻度は約34%で, 耳閉塞感が初発症状であった症例が約6%, 耳閉塞感が主訴であった症例は約5%であり, 耳閉塞感が聴神経腫瘍でも決して稀な症状ではなかった。 臨床症状, 聴覚検査所見, 腫瘍径, 起源神経と耳閉塞感の有無には明らかな関係は認められなかった。 したがって, 今回は聴神経腫瘍における耳閉塞感の発生機序は明らかにできなかったが, 今後, 耳閉塞感の質的な分類を確立することや, 蝸電図や耳音響放射などの他の内耳機能検査との関連を検討することが必要であると考えられた。