Clinical Application of Evoked Otoacoustic Emission for Diagnosis of Meniere's Disease.

メニエール病確実例55例を対象に, グリセロール内服前後で誘発耳音響放射 (以下EOAE) を測定し, 聴力レベルの変化とEOAEの変化の関係について比較検討した。 一般に, EOAEは低周波数領域の障害には影響を受けにくいとされているが, 今回の検討においては, メニエール病では1kHz未満の低周波数領域に限局する聴力障害についてもEOAEで検出可能であると考えられた。 また, 聴力レベルの変化を指標としたグリセロールテストの陽性例が21例であったのに対し, EOAEを指標とした際の陽性例は19例とほぼ同様であったものの, 両者は必ずしも一致していなかった。 従って, EOAEを指標に加えることにより, グリセロールテストの陽性率を向上させることができるとともに, EOAEの発生源である外有毛細胞の機能を中心として, 内リンパ水腫の病態を検討することができると考えられた。