シベレスタットを投与したALI/ARDS症例の臨床経過-高分解能CTおよび臨床的パラメータを用いた直接肺損傷と間接肺損傷の比較-

Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi(2013)

Cited 0|Views5
No score
Abstract
【目的】Sepsisに伴う急性肺損傷(ALI: acute lung injury/ARDS: acute respiratory distress syndrome)を直接肺損傷と間接肺損傷に分け,選択的好中球エラスターゼ阻害剤・シベレスタットナトリウム(以下,シベレスタット)投与後の臨床経過の違いについて,胸部高分解能CT(HRCT)所見による検討を行った。【対象と方法】2006年1月から2008年3月の期間に,神奈川県の救命救急センター7施設にて,HRCTを行ったALI/ARDS患者20例に対し,診断時よりシベレスタット(0.2mg/kg/hr)を5日間以上持続静脈内投与した。肺酸素化能の推移ならびに経時的に胸部X線撮影とHRCT撮影を同時に施行し,HRCT所見で(1)浸潤影,(2)すりガラス状陰影,(3)小葉間隔壁肥厚,(4)牽引性気管支拡張等をスコアリングし,直接肺損傷(重症肺炎を起因としたALI/ARDS)と間接肺損傷(肺炎以外の感染を起因としたALI/ARDS)におけるシベレスタット投与例の臨床経過の違いについて検討を行った。【結果】肺酸素化能の改善より判定したシベレスタット投与例の臨床経過は,直接肺損傷群(n=10)の60%よりも間接肺損傷群(n=10)が100%と間接肺損傷群で良好な傾向が認められた。画像所見の推移を検討したところ,胸部X線スコアでは直接肺損傷と間接肺損傷で違いは認められなかったが,“急性期HRCTスコア(浸潤影とすりガラス状陰影スコアの合計)”では,直接肺損傷よりも間接肺損傷で有意な改善を認め,肺酸素化能の推移とよく一致していた。【結論】シベレスタット投与例の臨床経過は,直接肺損傷よりも間接肺損傷でより良好であるとともに,ALI/ARDSの病理学的ステージを捉え,薬剤の投与タイミングを計るうえでのHRCT所見の有用性が示唆された。
More
Key words
High-flow Oxygen Therapy
AI Read Science
Must-Reading Tree
Example
Generate MRT to find the research sequence of this paper
Chat Paper
Summary is being generated by the instructions you defined